手強いぞ! 中華のあいつ
万年筆フリークのタコの介にとって、中華は油断がならない。べつに中国を警戒しているわけではない。うっすらとは警戒心はあるけど。目が離せないということである。とくに要注意なのがJinHaoという万年筆メーカーだ。「ジンハオ」と言うのだろうか。いかにも中国っぽいけど。
8万円と1,000 の真剣勝負
以前、このメーカーの千円万年筆にやられたことがある。それはJinHao159というそっけない名前のやつだ。これはだれも大きな声では言ってはいないが、どう見てもあの名品、ドイツのモンブラン・マイスターシュティック 149 の完コピ。149に159。こっちが10コ上だ。並べてみると、クリップが違うだけでまったく同じ。片や8万円前後。こちらは1,000円ぽっきり。
あとの勝負は書き味だ。まずはモンブラン。うん、この重さ、この握り具合。ペン先を紙に乗せると、線の端からきっちりとインクが紙に染み込む。生まれたばかりの線はインクの輝きと湿感をもってのびやかに走り出す。
ではジンハオ。重量感たっぷりだ。握りも悪くないぞ。問題は線だな。すーー。あれ? なめらか、のびやか。インクの出もベストじゃん。
この勝負、どう見てもジンハオの圧倒的勝利だ。だだ、キャップを軸の尻につけて書きだすと、すぐポロリと抜けるのが大問題。タコの介は軸の尻にセロテープを巻いた。いまや159はタコの介の愛用品となった。大事な手紙は159で書く。
書き味はつーつー、れろれろ
ところが先日の夜、気の迷いでジンハオをポチっとしてしまった。注文から9日かけてチャイナからやってきたのはJinHao X450という万年筆。相変わらずそっけないネーミング。やつは手作り感いっぱいの包装でやってきた。開けるとブルーのボディが輝いている。
手にすると、ちょっとずっしり感があった。軸の中にはすでにインクのコンバータがセットされている。さっそくブルーブラックのインクを入れた。ちなみに、インクはパイロットのブルーブラックしか使わない。キャップを外して軸の尻につけて書こうとするとポロリ。ジンハオお約束の尻軸ポロリだ。
さて、書くぞ。つーーーー。つーつー。ついでに、れろれろ。
ちょっと掛かり気味だけと、書き味にはまったく問題はない。うーん、この万年筆をどう考えればいいのだろう。タコの介は青く光るペンを握りしめて、目線が固まってしまった。タコの介、何を悩む。
だってこの万年筆、送料込みで895円だよ。